通信-3

テニス部監督 挨拶

 西村 殊寛

現在、神戸大学硬式テニス部監督の西村殊寛(にしむらよしひろ)と申します。

2002年に神戸大学医学部医学科に入学し同時にテニス部に入部し、2008年に卒業しました。

現在は眼科医として公立病院に勤務する傍ら、定期的に大学のコートへ通い、学生たちとともに

汗を流しています。

 私は監督として二つの課題を課されていると考えています。

一つは神戸大学硬式テニス部を再び強豪校に引き上げることです。

もう一つは学生に対する教育です。大切な人生の4年間を費やして、義務でもない部活動を

経験した学生がアドバンテージを持って社会に出て成功していけるようにするのは私にとって

当然の義務です。

 そのために私が入部してきた学生たちに4年間を通して会得して欲しいことが以下の二つです。

@ 社会性

A 勝負強さ


依然として就職活動で体育会を評価してくれる日本の社会を裏切らないためにも、学生に

社会性を身に付けさせるのは体育会という存在に課された最大のノルマです。体育会での

部活動は規律があって、将来会社で必要となる社会性を身につけることができます。会社とは

違い失敗しても何度でも挽回できて先輩からのフィードバックもある最高の環境です。学生には

4年間を通して、規律を守り、任務を正確に実行できる「ちゃんとした人間」になってもらいたいと

思います。

また、私はまだ30年しか人生を生きていない若輩者ですが、それでもいくつかの印象的な

経験を経て多くの教訓を得てきました。社会は非常にシビアで、過程で評価してくれるのは

身近な人々だけで、世間は人を結果で評価します。だから勝利に勝る敗北や成功に勝る失敗は

ありません。敗戦から得られるものは勝者が既に備えているものであり、敗者が反省を重ねる

間にも勝者は前進しています。そのため、最高の人生を歩むには人生の岐路で訪れる勝負で

毎回必ずよい結果を出さなくてはいけません。体育会では勝負で勝つことを目指して活動します。

プロを目指さない限り実際には試合で負けても人生に大きな損失を与えないので、犠牲を払うこと

なく、絶対に負けられないと感じながら挑む勝負を数多く経験することができます。そうした勝負の

瞬間は一部の人にしかできないかけがえのない経験となります。その中で、勝負に勝つことの

価値と成功へ行き着くための方法を学んでほしいと私は考えています。

社会性と勝負強さの両者には相反する部分がありますが、人から評価され、支持されるには

少なくともそのいずれかを備えていなくてはいけないと思います。後輩たちには、神戸大学硬式

テニス部での4年間を通して人間として成長し、社会で認められる存在になり、才能に見合った

最高の人生を歩んでいって欲しいと思います。

最後に、9月7日より関西学生リーグ戦が始まります。今年も降格の危機という厳しい現実に

直面しております。みなさま、ご都合がよろしければ、ぜひ会場へ足を運んでいただき、応援に

よって4部を死守できるよう、ともにがんばりましょう。