全日本ローンコート選手権 参戦記
石川 哲二(S28年)

 昨日(11月1日)佐賀のウインブルドンで行われた全日本ローンコート選手権から帰って
きましたので、簡単に状況報告します。

 全日本と名のつくトーナメントは2つあり1つは名古屋での全日本、2つ目が佐賀でのロー
ンコート選手権があり、文字どうり日本で唯一の天然芝でのトーナメントです。 小生は70
歳以上のシングルス(第4シード)ダブルス(前年優勝で第1シード、パートナーは韓国ベテ
ランテニス連盟会長の金教成氏)の両種目に出場、期間は10月29日から11月1日の4日
間。結果はシングルス、ダブルスとも残念ながら準優勝に終わり大変残念に思っておりま
す。

 シングルスは1,2回戦はストレート勝ちでであったが、準決勝で前年優勝第1シードの渡
部満彦と対戦。 クラブハウス横の一番見晴らしの良いコートで観客が多いところ。ファー
ストセット6-5とリードするも追いつかれタイブレーク7-4で落とす。セカンドセット4-1とリード
され、6-5でマッチポイント1つ掴まれたが、思い切ったファーストサーブがリターンミスを誘
い、又もやタイブレークとなり7-3でとりかえす。 ファイナルセット第一ゲームを取りそこな
ったところ、ずるずると4-0でリードをゆるしたが、前のセットも4-1から挽回したので兎も角
1ゲームを取れば何とかなると信じて、1ゲームを取り4-3まで追い上げ4オールのポイント
を40-15としたところで、相手が胸苦しくなったと レフェリーに棄権を申し入れこちらの粘り
勝ちとなった(彼はそのまま救急車で病院に運ばれ点滴を受け一泊して帰宅を許された
由、こちらもホットしたしだい)。
試合時間は丁度2時間半かかったが、相手の渡部は実に攻撃的な素晴らしいショットを持
ったグラスコート向きのテニスをする選手であった。


 
 ダブルスは準決勝で今村、鍋島組と対戦した。このペアは10月の名古屋の全日本で渡
辺、佐野を破った第一シードの川崎、星屋にフルセットの大接戦を演じた強豪で、ファース
トセット6-3で落としセカンドも一時リードを許したが なんとかタイブレークに持ち込み、フ
ァイナルセット6-0で決勝に進むことができた。

 決勝の相手は同じく名古屋で第二シードの森、宮地(結局このペアが優勝)にフルセット
の接戦をした菊川・尾田組であったが、生憎前述のシングルス準決勝の45分後にダブル
ス決勝が行われたために私がリード役のペアなのに、疲労でそれができず結局フルセット
1-6,7-6,1-6で破れ、2連覇はならなかった。 結局第三日は単複あわせて約6セット、
そのうち3セットがタイブレークの激戦で、体力の消耗はかなりのものであった。


 
 最終日のシングルス決勝の相手は第三シードで 第二シードを破って勝ち上がってきた
昨年準優勝の堀選手であった。 彼は昨年決勝で渡部にストレートでやぶれているので、
本来なら組し易い相手なのだが、なにしろこちらは単複両種目掛け持ちで体力的に劣勢
はいなめず、ファーストセット2-5から挽回して5オールのポイントをつかみながらそれを落
として、精魂尽き果てた格好でセカンド6-2でとられ準優勝に終わった次第である。

 今年はダブルスよりもシングルスのタイトルを狙っていただけに、残念至極であった。そ
れにしても、天然芝のコートは球足が速くイレギュラーが多く私のようなベースラインプレイ
ヤーには、クレイコートの倍は疲れる感じである。

 余談であるが、帰りの飛行機の通路を隔てた隣の席にいた見知らぬ男性から、「私も50
歳以上で試合にでていたが、たまたま石川さんのシングルスの準決勝をほとんど全部み
ていたが、あんな素晴らしいテニスを70歳以上の方がやられるとは驚きで、われわれ若手
に大きな力を与えていただきました。これはお世辞ではありません」とお世辞を言われ、決
勝で負けた悔しさが少し和らいだことでありました。
石川哲二 記